「七夕」といえば願い事を書いた短冊や飾りを笹竹につるしてとても鮮やかで綺麗ですよね。ところでどうしてお願い事を「短冊」に書くのでしょうか?また短冊の色などに意味などはあるのでしょうか?
改めて「何で?」と聞かれると、答えるのもなかなか難しいと思いますので、ここではその「短冊」について触れていきたいと思います。
目次
七夕で短冊を使うのはなぜ?
彦星と織姫で有名な七夕伝説に短冊は出てきません。そもそもこの2人の再会を祝ってお願い事をするというのは、中国の「乞巧奠(きこうでん/きっこうでん)」という行事が始まりと言われています。
「乞」は願う、「巧」は巧くなる、「奠」は祀るという意味で、織姫が機織りの名手という事もあり、その技の上手さにあやかって手習い事の上達を願いました。
これが奈良時代、遣唐使によって日本に伝えられ、最初は宮中行事として裁縫や詩歌の上達を願うものでした。その際に梶の葉7枚に和歌をしたためていたそうです。
それが江戸時代になり短冊が使われるようになりました。寺子屋などで学習する子や、手習い事をする人がその上達を願ったとされています。
宮中行事から民間行事へと移り変わっていった際に使われるものも変化したという事ですね。
短冊の色の意味は?
短冊というとカラフルなイメージがあるかもしれませんが、本来使われる色は「5色」です。
これは中国の陰陽五行思想にちなんだもので「青、赤、黄、白、黒(紫)」の5色になります(現在は祝い事に「黒」はあまりよろしくないという事で、代わりに「紫」を使用する場合もあります)
陰陽五行思想とは古代中国の思想で「万物は木、火、土、金、水の5種類の元素から成る」という考え方です。これを「木=青、火=赤、土=黄、金=白、水=黒」という色で表しています。またこの「五」という数字は色だけではなく、方角や季節、人間の臓器なども表しています。
ただ、この陰陽五行思想はかなり複雑な思想ですので、とてもじゃないですが覚えきれません(^^;ですのでとりあえず「森羅万象(宇宙に存在する一切のもの)を象徴した色」という感じで覚えていただければいいかなと思います。
また現在は5色に限らず、様々な色を使って色鮮やかに演出する場合も多いです。
短冊に願い事は何を書く?
短冊には願い事の他に、「彦星」や「織姫」、「天の川」といった七夕にちなんだ言葉や絵を書きますが、本来はサトイモの葉っぱに溜まった夜露で墨をすり、その墨で願い事を書いていたそうです。
なんでもサトイモの葉は天から授かった「天の水」の受け皿だと考えられていて、その水で墨をすると字も上達すると言われていたのが理由だそうです。
そういえば某アニメの大人には見えない妖精さんも傘がわりにサトイモの葉っぱを使ってましたね。かくいう私も子どもの時にサトイモの葉っぱを使って真似をした記憶があります(^^;
・・・と、ちょっと話が逸れてしまいましたが、こういった本意を踏まえて「お願い事は芸事が上達するような事を書いたほうが良い」とされています。
が、現在はあまりそういった考えに固執せず、好きな事を書くのが主流になっている気がします。特に小さい子どもたちにお願い事を書いてもらう場合は、思ったことをそのまま書いてもらった方が純粋さが表れて、そっちの方が可愛いですよね。
という訳で本来は「芸事が上達するような願い事を書く」でしたが、現在は「好きなことを書く」です!(笑
まとめ
七夕は元々は複雑な思想に基づいていました。それが時代の変化と共に、他の要素が取り入れられて今の形になりました。短冊もその中の1つという訳ですね。
普段はなかなかそこまで意識する事はないと思いますが、本来の意味を知っているといつもとは少し違った楽しみ方もできるかもしれませんね。